top of page
検索

厳格な運用が求められる変形労働時間制

  • 阪尾コンサルティング事務所
  • 2023年12月1日
  • 読了時間: 2分

 変形労働時間制を適用し、複数のシフトパターンにより労働させているケースがありますが、就業規則にすべてのシフトパターンが記載されていなかったとして変形労働時間制が無効とされた裁判例が出ています。そこで今回は、変形労働時間制を導入・運用する際の注意点をとり上げます。



[1]導入時の注意点


 変形労働時間制としては、1ヶ月単位、1年単位などの仕組みがありますが、例えば1ヶ月単位の変形労働時間制を導入にあたって、就業規則を整備する場合、以下のすべての事項を定める必要があります。


1 対象労働者の範囲

2 対象期間・起算日

3 労働日・労働日ごとの労働時間


 1の「対象労働者の範囲」は、変形労働時間制の対象となる労働者の範囲を明確に定める必要があります。2の「対象期間・起算日」は、例えば「毎月1日を起算日とし、1ヶ月を平均して1週間当たり40時間以内とする」というように、具体的に対象期間と起算日を定める必要があります。なお、対象期間は1ヶ月以内の期間であれば、2週間や4週間とすることも可能です。そして3の「労働日・労働日ごとの労働時間」は、シフト表や会社カレンダーなどで、2の対象期間すべての労働日ごとの労働時間をあらかじめ具体的に定める必要があります。

 その際、シフト制労働者で月ごとにシフトを作成する場合には、全ての始業・終業時刻のパターンとその組み合わせの考え方、シフト表の作成手続き・その周知方法等を定めておく必要があります。



[2]運用する際の注意点


 複数のシフトパターンがある場合、就業規則には、代表的なものだけを記載しているようなケースや、様々なパターンに関する記載があるものの実態とずれているようなケースが見られます。

 変形労働時間制が無効になった裁判例では、「原則として」と記載し、4つのシフトパターンを定めたのみで、すべてのシフトパターンを記載していなかったとして、労働基準法第32条2の「特定された週」または「特定された日」の要件を充足するものではないことから、変形労働時間制は無効であると裁判所が判断しました。

 ひとつの裁判例であるものの、会社は、就業規則にすべてのシフトパターンの記載があるかを確認し、記載がなければ追加し、また、今後において、記載されたシフトパターン以外の時間で勤務しないように管理していくことが求められます。


 変形労働時間制は、特定した労働日、労働日ごとの労働時間を会社の都合で変更することはできないとされています。会社の都合で変更するような誤った運用もみられることから、適正に運用できているのかについても確認し、問題があれば改善していきましょう。


 
 
 

最新記事

すべて表示
令和8年度の協会けんぽの保険料率

協会けんぽから「2026(令和8)年度政府予算案を踏まえた収支見込みについて(概要)」が公表されました。 今年の通常国会に提出される政府予算案を前提にして協会けんぽの収支見込みが立てられた上で、2026年度の各保険料率の予定が示されています。 現段階では正式決定ではありませんが、各保険料率は以下のとおりです。 ・健康保険料率 平均保険料率9.9%(2025年:10.0%→2026年度:9.9%)

 
 
 
食事手当の非課税限度額が7,500円に引き上げへ

近年の物価上昇は税制にも影響を与えています。自民党では、物価の上昇を踏まえ、税制における長年据え置かれたままの基準額について見直しを進めており、先日はマイカー通勤の通勤手当にかかる所得税非課税限度額の引き上げが行われました。これに引き続き、食事手当の非課税限度額の見直しが行われることとなりました。  先日公表された令和8年度税制改正大綱には食事手当に関して以下の記述が見られます。「使用者からの食事

 
 
 
令和8年度(2026年度)の健康保険の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限

会社を退職し、健康保険の被保険者資格を喪失した後に加入する健康保険の制度はいくつかありますが、その一つとして退職前まで加入していた健康保険に引続き加入する任意継続被保険者の制度(以下、「任意継続」という)があります。 任意継続を利用するためには、資格喪失日の前日までに継続して2ヶ月以上の被保険者期間があることや、資格喪失日から20日以内に申請することが必要があります。そして負担する保険料は、退職時

 
 
 

コメント


株式会社ジー・エフ・イーコンサルティング

阪尾コンサルティング事務所

​埼玉県川口市川口6-8-23-301

048-253-0844

©2022 阪尾コンサルティング事務所

bottom of page